1月27日(日)、ARMSを種目にしたこども向けのeスポーツイベントを開催するというのでスタッフとして手伝いをさせてもらった。主催者はさいたまeスポーツ協会(@saitama_esport )。そして会長をつとめるのはARMSプレイヤーでもあるきこぴのさん(@kikopino_game)だ。
彼女は仕事で子育て支援の活動をしている。得意不得意の凸凹が大きい子どもたちと日々接していて、ゲームのイベントを通じていろいろな人と交流をすることが彼らに良い影響を与えるのではないかと考え、この活動をはじめたそうだ。中毒性や暴力性など悪い面が取り上げられがちなビデオゲームとのポジティブな付き合い方を保護者と一緒に考える機会にもしたいという。
なにやらえらく真面目でかっこいいじゃないか。普段Twitterでオヤジギャグをつぶやいたりしたり、唐突にキムタクが如く(JUDGE EYES:死神の遺言)のゲーム実況配信を始めたりするイメージとは全然違うぞ。
寒スミス
— きこぴの (@kikopino_game) February 12, 2019
僕も本人から初めてこの活動のことを聞いた時はにわかに信じられなかったが、すでに企画書を持ってイベント実現のためにあちこちに働きかけていることを知って、その本気さと行動力に驚かされた。
共通のゲームを遊ぶことで会話のきっかけができ、コミュニケーションが深まった親子。学校にうまく馴染めずにいたけどゲームコミュニティに居場所を見つけたという子。大会で活躍し、みんなから讃えられることで自信をつけてゲーム以外の活動にもチャレンジできるようになった人。
ゲームのイベントが良い人間関係を築く契機になった人の話を、僕も聞いたり、実際に目にしてきたので、きこぴのさんの活動の先にある成功イメージを想像することができた。
ゲームイベントには同じゲームを愛する年齢、性別、職業、いろんな背景を持った人達が集まり、そこではさまざまな価値観にふれることができる。日常では同年代との交流に偏りがちな若い学生にとってはちょっとした異文化交流だ。視野を広げるよいきっかけにもなるのではないか。
特に有志で作るゲームイベントは、積極的に声をかけあってみんなで楽しもうという雰囲気があるし、なにより一緒に遊べるゲームがあれば最初の会話を切り出す敷居はずいぶん下がる。奥手な人でもコミュニケーションが取りやすい場所だと思う。
昨年開催されたARMS JAPAN GRAND PRIX 小学生以下部門大会の感想でも書いたが、今後、競技人口を増やすきっかけづくりでも、子どものARMSプレイヤーやその親御さんたちとつながっていきたいと思っている。子ども向けのゲームイベントがどのようなものになるかとても興味があったので、今回のイベントを手伝わせてもらうことにした。
7:00 自宅出発
機材類を運ぶため車で向かう。ARMSの朝は早い。
9:00 集合・設営開始
機材とスタッフをピックアップして会場の大宮 コワーキングスペース24 へ。到着後すぐに設営開始。会場はセミナーなどに使えるレンタルスペースで、机・椅子・大型テレビにマイク・スピーカーが備え付けられていた。着座で60名位入るスペースだろうか。
使用するSwitchはスタッフの持ち寄り。会場には来れないがSwitch一式を貸してくれる人もいた。モニターは今後イベントを開催していくためにきこぴのさんが自腹で購入したものだ。その数10台!いきなり買い揃えてしまうところがROCKだぜ。(しかしなぜか自宅に1台忘れ、この日は9台が稼働)
10:00 受付開始
受付開始と同時にたくさんのご家族が来場して下さり、会場はすぐに人で一杯になった。
このイベントで一番の課題は集客だった。僕らが連絡手段として使っているTwitterはフォロー・フォロワー関係の人、つまりすでに関わりのある人以外の外部への情報発信には向いていない。今繋がりのない、小学生以下の子や、自身はゲームに興味のない親御さんにはきっとメッセージが届かないだろう(そもそも小さい子はアカウントが作れない)。検索でも引っかかりにくいので目に触れさせるのは難しい。
普段はイベントの告知を打てばコミュニティのメンバーに情報が広がって反応があるので大体の参加者数がすぐにわかるのだが、今回は募集を始めるまで来場者数が全く読めなかった。
きこぴのさんに尋ねたところ、Twitterアカウントからの告知の他に、チラシを作って 知り合いのご家族に声をかけたり、Facebookで告知をうつことを行ったそうだ。申込みはこくちーずを利用し、web上の申込みフォームから行うようになっていた。
募集開始から数日はほとんど動きがなかったが、次第に申し込みが入りはじめ、結果としては20組40名の参加者になった。知り合いのご家族からの紹介で来て下さった方以外に、Facebookの告知を見て来場された方もいた。
僕だったら、最初は知り合いだけのイベントになっても良いと考え、初回はまず知り合いを集めて活動実績を作り、2回目以降、参加者からの口コミで少しずつ外部の人を増やしていこうと考える。
きこぴのさんは違って、最初から全力で動いていた。周囲の知り合いからつてを求め、積極的に動いた結果、新聞社が取材してくれることになり、その記事を見て参加してくれた人もいた。
— さいたまeスポーツ協会 (@saitama_esport) 2019年1月11日
盛況ぶりに慌てて追加の体験台も設置しながら、きこぴのさんのあれこれリスクを考えずにやりたいようにやってしまえる思い切りの良さに感服していた。
イベント運営がはじめての彼女は、事前に僕にもいろいろ質問をしてくれて、僕はそのたび偉そうにアドバイスなどしていたのだが、それが今となっては恥ずかしい。
10:30 操作説明→練習→大会スタート
参加者のうちARMSのプレイ経験があるのは半数くらいだった。最初に基本的な操作方法を説明し、その後で少し練習時間を設けた。一通りゲームに触れた後、全員参加の大会を開始。
試合の様子はさいたまeスポーツ協会のブログが詳しいので読んでいただきたい。
スタッフとして試合の進行や、操作方法のアドバイスをしながら、気がついた点をメモ。
・1台のSwitchで兄弟や友達と遊ぶため、「横持ち」でプレイする子が多い。
・幼稚園〜小学校低学年の子は「いいね持ち」では親指がLRボタンに届かない子がいる。
・男の子にはスプリングトロン、キッドコブラ、ニンジャラが人気。
・女の子にはリボンガール、ツインテーラ、ドクターコイルが人気。
・異性のファイターは使わない。
・初めてプレイする人はアームが多すぎて困惑する。おすすめアームを用意しておいたほうが良い。
自分たちとは違う傾向からその要因を想像するのが新鮮で興味深かった。
そういえば小さい頃はゲームで異性のキャラを使うと周りから冷やかされるので、恥ずかしくて選べないこととかあった。ストⅡで春麗を使おうものなら大変だった。
男の子にツインテーラとか使わないの?と聞いたら「えー、やだ。かっこわりいじゃん!」と照れ隠しをしながら返してくるのが面白い。
お昼休憩を挟んで決勝トーナメントへ。みんなが注目する中で実況付きの対戦を経験してもらう。
このころにはすっかりルールや駆け引きの見どころを理解した親御さんから力の入った応援の声が上がり始め、大会にふさわしい盛り上がりを見せた。
さいたまeスポーツ協会主催 小学生以下限定ARMS対戦会、優勝しました〜🏆
めちゃくちゃ素敵なトロフィーをいただきました!運営の皆様、対戦いただいたみなさん、ありがとうございました!!!
これからもいっちょARMS💪💪💪 #ARMS pic.twitter.com/af80elc5ld— イブ(あおい) (@s_i_a_m_u_7) 2019年1月27日
上位入賞者にはメダルとトロフィーも用意されていた。
「楽しいだけじゃなくて、ちゃんと競技としてゲームをプレイしてもらい、勝ったことを誇ってもらえるようにしたかった。」
きこぴのさんのこだわりの演出だった。
負けて泣き出してしまう子もいたが、それだけ真剣に勝負に取り組んでいたし、メダルをもらった選手、そしてその親御さんも嬉しそうで、小さな大会ではあるけど、きっと良い思い出になったと思う。
14:00 フリー体験会
大会が終わったあとは、自由にARMSをプレイしてもらった。子どものプレイを見ていて興味を持った親御さんも混ざりみんなで遊んだ。
帰り際にはARMSを買いますと言ってくれたご家族が2組、さらにもう1組のご家族はSwitchも買うと言ってもらえて本当に驚いた。(ちなみにこのイベントに参加するためにARMSを購入してくれたご家族がもう1組いる)
ARMSは見ているだけで簡単にルールがわかるし、コントローラーを振って動かす操作が面白そうで自分でもやってみたくなる魅力がある。操作もシンプルですぐに勝負の駆け引きを体験することができるので、初心者でもすぐに面白さを理解できる。
話を聞いていると、普段、お子さんがやっているゲームの内容がよくわかっていない親御さんが多いようだ。自分が理解できないよくわからないものに子どもが長時間夢中になっている様子を見ていれば、それが不健康なものに見えてくることは想像できる。
しかしこの日は親御さん自身がARMSを体験して理解し、面白いという感覚をお子さんと一緒に共感できたことが不信感を一気に飛び越えて、これなら買っても良いと思ってもらえたのだろう。
ARMSの特徴であるシンプルでわかりやすく、直感的に楽しめるゲーム性だから実現したところも大きい。
17:00 撤収完了
撤収作業を終え、昼飯の時間も取れずに夢中で動き回っていたスタッフは疲労困憊で打ち上げもせずに解散した。
家が同じ方向のメンバーは車で一緒にファミリーレストランに立ち寄り振り返りをした。継続していくために改善しなくてはいけない点や課題も多くあったが、参加者がみな楽しそうにしてくれていたことが嬉しく、みんな充実感があった。
帰宅後、Twitterでスタッフに直接お礼を送ったくださる方もいて、また感激してしまった。「夕飯でもイベントの話で盛り上がった」「早速ARMSを買って練習しています」「次回のイベント楽しみにしています」など嬉しいお言葉が胸にしみた。
手伝いに参加したスタッフもみんな一生懸命動いていて素晴らしかった。しかし、これらの称賛はやはりきこぴのさん理念と行動力に贈られるものだと思う。
次回は3/17。すでに動いているそうです。お楽しみに!
3/17(日)にイベントを予定しております!
詳細はまた後日…💪— さいたまeスポーツ協会 (@saitama_esport) 2019年2月6日
noteに個人的な思い入れをもう少し書いてみました。合わせて読んでいただけると幸いです。