ARMS JGP東京大会から3週間後。11月23日にARMS JGP18京都大会、そして全国決勝大会が行われた。
紅葉シーズン真っ只中、しかも3連休とあって京都の宿は大げさではなく、本当に、まったく空きが無かった。
抽選結果が出たのが1ヶ月ほど前。その時点で空き室がある宿はほんの数件。しかも、ビジネスホテルで1泊3〜4万円は当たり前にかかる状況でカプセルホテルはもちろん、ドミトリーまで対象を広げて探したがどこもいっぱいだった。
落選し試合に出場できない身としては、京都まで足を運ぶことに躊躇する気持ちも正直あったが、しかしやはり現地で結末を見届けないという選択肢はありえなかった。
滋賀や大阪に宿泊することも考えたが、当日は参加者で大きな打ち上げも予定されていたので終電を気にして行くのも面白くない。
結局、車で行けば最悪の場合でも車中泊ができるし、なんとかなるだろうという、体力任せのプランで行くことにした。(このあと無理がたたって年末まで体調を崩すことになる。もう二度とやらない)
同じく応援に向かう予定だったげんげん、出場者だけど前日も深夜まで仕事があるため移動手段を探していたあぶさんと一緒に行くことに。
11/2深夜。新宿で待ち合わせ、京都へ向かった。
一晩中走り続けて翌朝。集合時間に余裕を持って会場の京都国際会館に到着。出場選手のあぶさんを遅刻せず無事に送り届けられて一安心。
長距離運転を気づかってずっと話し相手になってくれていたあぶさん。ほとんど寝ていないのにこの元気である。
3人の中で一番元気なあぶさんを選手入場口から見送り、僕とげんげんは一般参加者列へ回る。このあたりから見慣れた顔がぞくぞくと到着。
イベントのたびにお互い東西行き来し、頻繁に顔を合わせすぎているので、みんながどこに住んでいるんだかわからなくなってくる。
応援のためだけに遠方からたくさんの人が集まった。コミュニティのそういう距離感の近さはいいよね。
トイレに行くため一度列を離れ、戻る途中に混雑の様子をカメラにおさめていると、後ろから声をかけられた。
振り返るとARMS JGP リングアナウンサーでお馴染みの国本さん!どの会場にも出没して写真を撮って回っているので大会の運営スタッフと間違われたようだった。
「スタッフじゃなくて一応プレイヤーですから!」と突っ込んだものの、どんな形であれ顔を覚えてもらっているのは嬉しかった。
一般入場開始
手荷物検査を受け入場。幕張メッセより天井が低いこともあって小さく感じたが、通路を経由してイベントホールとニューホール、二棟をつかった会場の構成になっていたからだった。ブース同士の距離が近く、賑やかさがある。
ARMSのブースに着くと出場選手がすでに列を作って試合開始を待っていた。激励に行きたいが観戦者はまだ中には入れない。ので周囲を写真を撮って回る。
番号の遅い補欠選手も整列していたので不思議に思ったが、聞いてみると10名超の棄権者がでた模様。
強い選手が続々と補欠から繰り上がっていく。これは大会が荒れる予感しかしない。
みんな自前のオリジナルグッズやユニフォームを作っての参加も普通になってきた。クオリティがやばい。公式グッズ、販売、早く!
海外から招待選手として参加する、GoreMagara選手とTwinedfive0選手がインタビューを受けていた。
GoreMagara選手はARMSで初めて誕生したプロプレイヤー。黎明期より海外大会で活躍している。EVO japan2018では準優勝。メインファイターはDNAマン。
Twinedfive0選手も海外大会で多くの優勝経験を持ち、EVO 2018では準優勝経験があるトッププレイヤーだ。日本ではまだ強いキャラクターという認識が一般的ではなかった時期からローラポップで成績を残し、国内にも影響を受けたプレイヤーは多い。
この強豪両選手がトーナメントのどこに入るのかは当日抽選ということになっていた。くじの結果、GoreMagaraがCブロック、Twin選手がDブロックに決まった。
サポーターとしていつも大会に同伴されているGoreMagara選手のご両親。海外大会で会った僕のことを覚えていて声をかけてくれた。どの選手にもいつもフレンドリーに接してくれる素敵なご夫婦だ。
ちなみに僕の HEI というニックネーム、海外の方から呼ばれると HEY! という呼び掛けに混同して誰に話しかけているのかわからず、混乱することもしばしば。この時もなかなか気づかずにキョトンとしてしまった。海外大会に行くような状況、想定してなかったから…。なんか申し訳ない。
閑話休題。海外から日本に来てくれたGoreMagara選手にもTwin選手にも頑張って欲しい気持ちもありつつ、やはりJAPAN GRAND PRIXというタイトルである以上ベルトは日本人に守ってほしいという気持ちもあり、複雑な心境。ベストを尽くして欲しい。
今日で2018年のJGPが決着する。まだ始まってもいないのに興奮と緊張と寂しさとが入り混じった不思議な感覚。試合の無い僕まで落ち着かなくなってくる。
予選開始
対戦台での試合開始!を合図に予選開始。東京大会と同じく、64名のトーナメント、2セット先取シングルイリミネーション形式で行われる。
この日はMBS(毎日放送)のeスポーツを特集する番組「YUBIWAZA」の取材が入っていた。番組が作った「チームYUBIWAZA」のメンバーであるベンケー選手と、そして異彩を放つ「ホストゲーマー」として注目されているあぶ選手を取材陣は追う。
カンスト(ARMSのランクマッチで最高RANKのさらに最上位点到達)プレイヤーの多さと、さらに海外のトッププレイヤー2名が加わっている点だけを見ても京都大会は東京大会以上に困難なトーナメントになったと思う。
配信されず、観客も少ない予選ブースで大会優勝経験者レベルのプレイヤー同士対戦カードがそこかしこで行われていた。あちこちで歓声とどよめきが起こり、下馬評を覆す試合結果が次々に観戦者の口伝えで配信の実況席まで届けられた。
JGP18 KYOTO DAY1 予選結果
JGP17ファイナリストのさるかに選手をやぶって勝ち上がったゆき選手がいいこ選手をやぶりAブロックから決勝ステージへ進出。
Bブロックはベンケー選手を下したやなぎ選手、あぶ選手を下したドルチェ選手が対決。ドルチェ選手が勝利をおさめブロック代表に。
そして最難関ブロックと呼ばれたCブロック。優勝候補筆頭の「皇帝」Pega選手があかだるま選手に破れ会場に衝撃が走ったのもつかの間、そのあかだるま選手を つ選手が下してブロックを突破した。補欠枠から繰り上げで参加し、1回戦で蔵屋敷たかじん選手を、そして3回戦でGoreMagala選手を破る快進撃。勢いが止まらない。
Dブロック。ここでも最強プレイヤーの一角、しんごろー選手を同じメカニッカ使いのまおう選手がやぶる番狂わせが起きた。しかしブロック決勝ではTwindfive0選手がまおう選手を破り、その強さを見せつけて決勝進出を決めた。
念願の公式大会で決勝ステージ進出を決め、歓声を浴びる選手たちの影で、敗戦の悔しさをにじませる多くの選手たちがいた。華々しさだけでなく、みんな真剣に勝ちに来ているからこそ起きる残酷なドラマも生まれる。JGPがただのお祭りではなく、本気のプレイヤーが集まる最高権威を持った大会だという証明でもある。
プレイヤーとしてどちらの立場の気持ちも想像できるだけになんとも複雑な心境でもあった。
配信台の試合に夢中になっていて気づかぬ間に、あぶさんはチームYUBIWAZAに正式加入していた。
「逃げのベンケー」と「カリスマホストゲーマーあぶ」。面白い。ARMSプレイヤーのクセの強さをアピールしていって欲しい。
公式Twitter: @YUBIWAZA_MBS
関西圏以外の人も TVer で見れます!
予選の様子はこちらで見られる
JGP18 京都大会 一般部門決勝ステージ
予選から1時間ほど時間があけて、舞台をメインステージに移し、決勝ステージが始まった。オープニングムービーの後、壇上に国本さん、高橋麗さん、そして矢吹プロデューサーの3名が姿を表す。
予選ブロックを勝ち抜いた4名がこのステージで戦い、京都大会の優勝者が決定する。優勝者と準優勝者は京都大会の代表選手として、先に行われた東京大会の優勝者Shateau選手、準優勝のジン選手との全国決勝に臨むことになる。
全国大会の優勝者にはJGPのチャンピオンベルトと、賞品として今年は特製オリジナルスタジャンが贈呈される。
この日会場で初めて実物がお披露目された。ARMSファンなら垂涎の一品だ。見た目だけじゃなく、作りもしっかりして高級感がある。チャンピオンベルトもそうだけど、ARMS公式のノベルティはクオリティが高くて洒落っ気もあり、作者のこだわりと愛情を感じる。
このスタジャンに袖を通すのはだれか。
まずは京都大会の王者を決める戦いが始まった。
Aブロック代表 ゆき選手 対 Bブロック代表 ドルチェ選手
ゆき選手は「豪腕」という僕が運営する配信チームで行っているARMSの対戦イベント企画に出場してくれた。この大会の2週間前のことだ。
ぽこやん選手と激闘を演じてくれたのだが、「天翔ける雪の華」という二つ名はその企画内で付けさせてもらったもの。それを公式のステージで使ってくれたのだった。
国本さんにコールされた時、自分がやってきた活動が公式イベントの一部につながったという感動で鳥肌がたった。イベントやってきてよかった。ありがとう。
ゆき選手はリボンガールをメインのファイターとしているが、他にも複数のファイターを高いレベルで使用できる。
対するドルチェ選手はメカニッカのプレイヤーとして有名だが、予選ではローラポップを使ってあぶ選手を破っていた。
試合展開が全く予想できない組み合わせ。どちらもテクニカルなプレイヤーで均衡した試合になったが、リボンガールで初戦をとったゆき選手が次のセットでツインテーラとファイターをチェンジし揺さぶりをかけ、2セット連取で勝利。決勝に進出を決めるとともに、この時点で全国決勝への切符も確定した。
○ゆき選手 2-0 ●ドルチェ選手
Cブロック代表 つ選手 対 Dブロック代表 TwinedFive0選手
最難関のブロックと事前から評判だった「地獄のCブロック」を補欠出場から勝ち上がったシンデレラボーイ つ選手。ステージ上での堂々としたパフォーマンスも板についていて間違いなくこの日一番乗っている選手だ。
対するは情報の少ない日本人プレイヤーに囲まれたアウェイの状況でも安定して実力を発揮し勝ち上がってきたTwin選手。
つ選手の使用ファイターはDNAマンだが、Twin選手と一緒に来日したGoreMagara選手のメインファイターもDNAマンであり、お互いに練習でそうとうやりこんでるのではないかという想像があったが、試合開始から予選の勢いそのままに つ選手が猛攻を見せ最終セット・Final Roundまでもつれ込む展開となった。
接戦の末、Twin選手が勝利し決勝へと進んだ。最後まで今日出場選手の中で最高のパフォーマンスを見せてくれた つ選手。GG!
●つ選手 1-2 ○TwinedFive0選手
JGP18 京都大会 一般部門 決勝戦 ゆき選手 対 TwinedFive0選手
そしてついに京都大会の決勝戦を迎えた。決勝戦は3セット選手で勝利となる。
代名詞のジョーカーとレイドラのアーム構成にローラポップのハイダッシュを巧み使った位置取りで近づくことを許さず、終始ペースを握り続けたTwin選手が見事勝利、京都大会の王者となった。国内公式大会初の海外チャンピオン誕生した。
●ゆき選手 0-3 ○TwinedFive0選手
そして全国決勝大会
激戦の余韻を会場に残したまま、わずかなインターバルをはさみ全国決勝大会は始まった。
全国決勝はすべての試合が3試合先取で決着するルールとなる。
東京大会優勝、Shateau選手 対 京都大会準優勝、ゆき選手
これはとんでもない試合だった。
ゆき選手が使用するリボンガールは動きが早く、空中機動力に長けたファイターではあるが、別のゲームを見ているようなスピードでShateau選手のドクターコイルの猛攻をかわし、投げを決め食らいついていく。
過去に見た中でも屈指の名勝負だった。ARMSを知らない人でも目を奪われるような展開。実際、この試合にはメインステージの観客席の周囲には足を止めた人が集まり、みんなが試合に見入っていた。
ぜひ動画で見てほしい。
結果はShateau選手の勝利、だが素晴らしい試合だった。この大会の個人的MVPはゆき選手だ。この試合はこれから何度でも見返すことになると思う。
○Shateau選手 3-2 ●ゆき選手
東京大会準優勝、ジン選手 対 京都大会優勝、TwinedFive0選手
ここまで勝ち進んできたTwin選手だったがジン選手のキックバックに苦しめられ敗戦となった。
しかし今トップレベルのキックバックの使い手であるジン選手相手に、曲射アームを使わず、こだわりのメインアームであるジョーカーとレイドラをわずかなスキに差し込んでいたのはさすがだった。
○ジン選手 3-1 ●TwinedFive0選手
JGP18 全国大会決勝戦 Shateau選手 対 ジン選手
全国決勝は東京大会で戦った二人が再び相まみえることとなった。
今年、非公式の大会の決勝戦で頭一つ抜けて強かったShateau選手をジン選手がギリギリまで追い詰めて観戦者に大きなインパクトを与えたことがあった。しかしそれから数ヶ月を経てShateau選手はさらに練度を高めていたようだ。
東京大会に続き完封でジン選手に勝利。JGP18全国大会チャンピオンはShateau選手となった。
○Shateau選手 3-0 ●ジン選手
JGPのベルトを手にしたのは、これまで初代・2代目・4代目がPega選手、そして3代目とこの日誕生した5代目がShateau選手。歴代この2人しか手にしていないのである。強すぎる。
昨年より開催数と参加者を縮小したJGPではあったが、内容は全く劣らず濃く熱い大会だった。
初期から最上位を走り続け、プロとなってから念願のビッグタイトルの獲得。多くのプレッシャーを抱えながらも継続して努力を重ねて結果を残したShateau選手はさすがだ。
優勝おめでとうございます!
JGP18が終わった
昨年6月の発売以降、ARMSは短期間にバージョンアップを重ね、そのたびみんなを驚かせた。そして突然発表された、日本中に予選会場を構えた全国大会JGP。実際の格闘スポーツさながらのチャンピオン制度、全国決勝を前にジャンプフェスタ予選2DAYSの追加、さらに翌年のEVOjapanでメインタイトルに採用など、プレイヤーが息つく暇もないペースでサプライズが続き、JGPは熱狂の頂点でフィナーレを迎えた。
明けて今年はメジャーアップデートの終了、そして公式の大会も3月に行われた春拳を最後に公式Twitterから情報が発信されることは少なくなり、非公式の大会や対戦会があるものの、コミュニティのテンションの低下は避けられなかった。
そんな中、突如発表されたJGP18開催の知らせはプレイヤーの停滞していた雰囲気を一変させ、活気づかせた。
選手や現地に訪れた観戦者はもちろん、会場に来れない人も配信を見ながら声援を送り、Twitterのタイムラインには熱狂と一体感が生まれた。その空気は間違いなく昨年と同じ「JGP」だった。
Nintendo Live内で他タイトルとの共同開催になったことでどうなるか不安もあったが、蓋を開けてみればこの1年間、コミュニティ活動で協力し合う場面も多かった人たちと同じ会場で興奮をともにすることができ、単独開催よりも楽しむことができた。
また、大会の運営もよりプレイヤーが納得できるルールや戦いやすい環境を用意してくれるなどさまざまな改善が見られた。そして国本さん、高橋麗さん、そして矢吹プロデューサーの去年と同じ陣営で迎えてくれたことも、昨年のJGPに憧れを持っていたプレイヤーからすると大変うれしいことだったに違いない。ユーザーフレンドリーな対応をしていただけことに感謝したい。
なかなかイベントに来られないプレイヤーや、他のゲームに移ってしまったプレイヤーともJGPで再会を果たすことができた。また、新設された小学生以下部門では未知の多くのプレイヤーの存在を知ることができ、ARMSコミュニティはまだまだ広げていけるという希望を持つことができた。
やはり、JGPはARMSのコミュニティにとって他には代えがたい唯一の大会であることを実感する。ユーザー主導の活動だけでは実現できない、ポジティブなエネルギーをコミュニティに運んでくれる。
すでに開発が終了し、1年たったタイトルで今年もJGPを開催して下さっただけでもありがたいが、わがままを言えばなんとかこれからも続けて欲しいと心から願うばかりだ。
また来年、JGP19で再びみんなと会えることを願って。
今年も最高の大会をありがとうございました!