10月13日(日)に予定したTEAM豪腕が主催する初めてのオフライン大会「GO-1 JAPAN CHAMPIONSHIP 2019 (以降 GJCS)」。
6日頃に発生した台風19号ハギビスは、当初から警戒されていた通り観測史上最大規模とも言われる勢力のまま、12日から13日にかけて日本に上陸することに。大会への影響は免れないと判断して、10日にやむを得ず中止を決めた。
【重要】#GJCS19 は台風19号の影響を考慮し開催中止を決定しました。参加を予定していただいておりました皆さま、開催に向けお力添えを下さった皆さまにご迷惑おかけしますことをお詫び申し上げます。判断理由についてはブログもご一読いただけますと幸いです。https://t.co/MvmXMuYzaF#GO1_ARMS
— 豪腕@ARMS (@GO1_ARMS) October 10, 2019
大会開催の発表から中止決定までは約2か月だけど、実はTEAM豪腕によるオフライン大会は開催場所や内容を何度も変えつつ、なんだかんだで半年くらい転がしていた企画だった。京都での開催を決めてからも右往左往しながら、たくさんの人に協力をしてもらってようやく形になりそうなところで、まさか季節外れ、しかも未曾有の大きさの台風で開催中止となったことは笑うに笑えない。
ここには本当は大会のオフレポを残したかったけど、それは叶わなかったので代わりに大会までに準備していたことなど書き留めようと思う。初めてのオフ大会の運営準備をする上でいろいろ気がついたことを記録したかったり、これだけやってたんだというアピールだったり。そして、これを持ってGJCS19に区切りをつけたい。
そんな備忘録なので面白い内容ではないかもしれない。今回はみんなのおもしろ写真とかは無いよ。
大会の準備がどのように行われているかの一つの例として読んでもらえれば幸いだ。
企画の始まり
8月1日に任天堂公式アカウントから今年もNintendo Liveが開催されることが発表された。
[任天堂HP]「Nintendo Live 2019」のページを公開しました。
『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』『スーパーマリオメーカー2』『スプラトゥーン2』の公式ゲーム大会が一堂に会するイベントです。本日より、各大会のエントリーを受け付けています。 #NintendoLive https://t.co/hy1JeoceKU— 任天堂株式会社 (@Nintendo) August 1, 2019
昨年は東京と京都でそれぞれ2日間ずつ開催された Nintendo Live。今年は会場が京都の1箇所のみに変更されて開催。残念ながらそこにARMSの公式大会(ARMS JAPAN GRAND PRIX、以降JGP)の情報は無かった。
限られた日程と会場のスペースで、たくさんの新作ゲームも発売されている中、発売から2年が経過したARMSの大会が無いことは仕方のないこと。むしろ昨年JGPを開催してくれたことにだって感謝しかない。
JGPの開催が無いことを惜しむよりも、ここは(勝手に)有志が公式からタスキを引き継ぐ気持ちで同じタイミングで京都でARMSの大会をやるのもよいのではないか、とイベント主催者の世間話が盛り上がってこの京都大会の企画が始まった。
そんな流れだったらので当初は豪腕が主催することは決まっていなかった。発起人それぞれの予定や事情を考慮した結果僕らが担ぐことにした。
冒頭に書いたとおり、もともと豪腕でオフライン大会を開催する企画は夏前から温めていたものがあって、協力を検討してくれる人たちに向けた企画書も作っていた。残念ながらその時は話が実現せずお蔵入りになっていたのだけど、それが活用できる機会になった。
そうして始まったGJCS19の企画。大会開催までに次のような準備をした。
企画の概要をまとめる
最初に大まかな企画内容を決める。
・この企画で実現したいこと
・開催日時
・開催場所
・参加人数
・大会ルール
・タイムスケジュール
・機材の手配方法
・必要なスタッフ数などなど。
規模の大小問わず、なにか企画を考えるときには意図と企画を通じて実現したいことを必ず最初に考えるようにしている。
GJCSは、いつまでも公式(提携)大会が開催される希望は持っているが、それを待つだけではなくて自分たちの手でもJGPのように盛り上がれる特別な定期大会を作りたい、という思いで企画した。
豪腕のコンセプトである「参加者にスポットライトを当てる」をオフ大会ではどうしたら実現できるか考えて、事前準備から当日の大会運営・配信、備品まで、企業主催のイベントに負けない作り込みを目指した。公式大会特有のあの高揚感に少しでも近いものを参加者に感じてもらいたいと、そう思っていたからだ。
企画概要はメモ書きで十分だけど、企画の趣旨や狙い、何をこだわって実現したいのか、一つ決めておくだけで判断に迷ったときの拠り所になるし、同じゲームの大会でも個性を持った企画になる。それが参加者に楽しんでもらうことに繋がっていれば良いイベントになるのだと思っている。
会場をさがす
・企画概要をもとに会場の条件をまとめた文書を用意
・設備、金額、空き日程で条件の合う会場をリストアップ
・会場へ問い合わせ、用意した条件を確認。見積もり作成を依頼
・候補を仮押さえ→見積もりをもとに最終検討
・本決定→会場費支払い
今回は開催地を京都に設定したので、土地勘もツテもない場所でゼロからの会場探しとなり苦労した。開催まで2か月だと動き出しとしては遅く焦りもあった。
まずはイベント概要と会場に求める広さや予算、配置、必要な設備、持ち込む機材やそれらのおおよその使用電力、ネットのライブ配信が可能な環境かなど、確認項目と要望を文書にまとめた。
これまでのARMSの非公式オフ大会の最大参加者数を考えて会場のキャパを決めた。この時はまだ9月に開催されたオフ大会「鼓舞志(@ARMS_kobushi)」のエントリー開始前で、ARMSのオフ大会自体が久しぶりなので参加者の数が読めなかった。加えて京都だと遠征して参加する人がほとんどになるので、参加者は減る想定。悩んだけど、希望を込めて最大64人に設定。定員の6割くらいの参加があれば会場費用が回収できるようにしたかった。
全国で貸し会議室を運営している大手企業の問い合わせフォームから必要条件を連絡し、営業担当者に該当する会場候補を集めてもらうのと並行して、自治体が運営しているような会場もネットで検索してリストアップし、個別に問い合わせをした。
前者は法人が開くイベントの取り扱い件数も多く、知識もあって対応が早い。設備も概ね万全だけど、費用が高めだ。後者の会場は安価な場合が多いが、個別に仕様を細かく確認する必要がある。ゲーム大会や現地からのネット配信の利用実績がないケースも多く、管理者と細かい確認が必要になることも。また、早くから予約が入っていることが多くて空きが少なかったり、申込みのために自治体独自の申込みサイトに登録が必要だったりすることもある。
今回会場になっていたハートピア京都さんは自分でネットを探していて見つけた。想定参加者数以上の広さだけどそれでもだいぶ安い会場費で、立地も良い。たまたま直近でキャンセルがあったそうで申し込むことができた。受付を担当してくれた管理者さんもとても親切に対応してくれ安心できたので会場に決めた。
機材を手配する
会場探しと並行して大会運営に欠かせない機材の手配。主には対戦台で使用するモニターとゲーム機。そして配信用の機材。
●配信機材
豪腕の配信に使っているデスクトップPCを京都まで運ぶのは難しかったので、配信PCはCALMさん(@C4LM_eS)のゲーミングノートPCとキャプチャーボードをお借りすることに。また、バックアップ機としてinkjettoさん(@inkjetto1)所有のゲーミングノートPCも持ってきていただくことになった。お二人とも快く協力を申し出てくれて、感謝。
その他配線ケーブル類や小物は豪腕で使っているものを一式持ち込む予定だった。
ちなみに今回会場には有線LANが無く、共用の無線LANを使用することになっていた。YouTubeへのライブ配信も問題がないことを確認してもらっていたが、万が一に備えて、ライブ配信のイベントに使用される上り無制限SIM付きのモバイルルータを予備機も入れて2台レンタルしていた。以前手伝いでイベントに参加した際にイベント運営を仕事にされている方に教えてもらった機材で、以前問題なく配信できたので今回初採用。
●対戦台用の機材(ゲーミングモニターとSwitch)
ARMSのオフライン大会運営経験が豊富なCALMさんにアドバイスをもらいながら1試合あたりにかかる時間を設定し、時間内に全試合が終了するために必要な対戦台の数を計算した。
最低10枚はゲーミングモニターが必要なのできこぴのさん(@kikopino_game)に相談し、さいたまeスポーツ協会(@saitama_esport)のイベントで使用している個人所有のモニターを貸してもらえることになった。こちらも二つ返事で快諾してくれた上、配送手続きなども協力してくれた。感謝。どの大会でもモニターの現地への配送と、終了後の返送作業が一仕事なので念入りに確認する。
ちなみに参加者が一定数を超えた際には豪腕の備品として必要な枚数分モニターを購入する予定だった。大会中止となった今となってはギリギリ購入せずにすんだのは不幸中の幸いか。
Switchに関しては参加者に持ってきてもらう他頼れる方法が無く、みなさんに協力をお願いした。今回はよくある「一般枠」と「Switch持参枠」を分けて募集せず、参加人数確定後、申込時に「機材の持参可能」を選択してくれた人に対して先着順に持参割引を適用させてもらう方法をとった。参加者数が全く読めなかったので、全体の参加人数に応じて必要となる台数を調整できるようにしたかったからだ。
個人的には、イベントで機材提供をしてくれる人にはもっと大きなメリットをお返ししたいと思っているが、現状では大会開催費を回収するためには金銭でのお返しが難しい状況でもどかしい気持ちだ。
今回Switchの持参協力に申請してくれたみなさんにも心から感謝している。
配線&設営図を作る
↓こういうのを作る。
会場選定の際に大まかにイメージしていた配置を参加者数が確定した段階で具体的な設営プランを仕上げ、必要なケーブル類を購入。
今回は会場のキャパに対して参加者数が少なく、スペースにかなり余裕があったので緻密な設営図はいらないと思ったが、現地に事前確認に行けなかったので(前日に最終確認をする予定だった)会場と図面のやり取りして認識の相違が無いか確認を行った。配電の関係で電源はここから使ってくれ、みたいなこともある。
配信機材の配線周りは豪腕の他イベントの時にいつも設営でバタバタしてしまうので、頭の整理のために毎回作るようになったが、今回のように複数人で事前確認する時には重宝している。
備品の準備をする
↓こういうのを作る。
配信機材や対戦台の機材の他にも名札とか対戦台の指示カードとか、大会運営に必要な備品は数が多い。毎日、忘れてる何かを思い出してはその度このリストもアップデートしているような状態だったので、大会が中止しなかったらもっと増えていたはず。
1か月前に開催された鼓舞志に参加して準備が漏れていることに気づかされるものが多くあった。鼓舞志は用意された備品にも主宰のぽこやんさん(@pokonica)らしい細かい気遣いがあってとても参考になったし刺激を受けた。
企画意図に書いたように備品もクオリティをあげたものを作りたいと思い、いろいろ試行錯誤をしてみた。結果、小道具は比較的安価でそれなりに見栄えの良いものが作る方法がわかったし、今後試してみたいたくさんのアイデアも得ることができた。
TEAM豪腕メンバーのオヒョ氏さんには大会パンフレットを監修してもらった。
とても強いこだわりを持って取り組んでくれたので嬉しく思っている。クリエイティブ面で協力してくれる人が増えてとても心強い。今後どんなことができるか考えるのが楽しみだ。このパンフレットは本当に現地で参加者に受け取って欲しかった。
その他にも、入賞者に渡す記念品や他の小道具にもいろいろとアイデアを用意していた。まだ別の機会に使いたいと思うのでここでは見せられないのだけど、参加者に喜んでもらえたんじゃないかと思っている。
配信準備
配信画面は準備中で、画面構成を配信担当のCALMさんに伝えるためのサンプルを作っていたところだった。豪腕で使っているものをベースにGJCS用のデザインを追加。動画ソフトの勉強を少ししているので過去の豪腕よりパワーアップした演出を披露したかった。
あとはもちろん、この大会用にオープニングムービーや演出用のムービーも作っていた。これもまたどこかで使える機会があるかもしれないのでここでは紹介できないけど、その時があれば良いなと思っている。
進行台本の準備
進行台本もまだ未着手だったが、いつものイベントではこんな感じで用意している。配信だけでなく設営から撤収までスタッフの動きも含めた内容になる。
中心になって準備を進めている人はだいたい当日の進行が頭の中にあるけど、それ以外の人はイメージを持ちにくいし、現地で伝えようにも当日は当日でだいたいバタバタするのでこういった進行表は用意しておいた方が良い。
今回、実況者は現地で手が空いている人にお願いするつもりで、気軽にゆるくやるつもりだったが、その分進行のきっかけが誰が見てもわかりやすい台本を用意するつもりだった。
情報ページをつくる
いつものように公式ブログに情報ページを作った。
GO-1 JAPAN CHAMPIONSHIP 2019 大会概要 – GO-1 OFFICIAL BLOG
内容は
・大会概要
・日程
・開催場所
・申込方法
・大会ルール
・諸注意 など
それに関連して大会のロゴだったりアイキャッチ画像を作ったりする。豪腕で使っているのはゲームのキャプチャー以外は有料無料の著作権フリーの画像素材を作っている。
受付用ページ(こくちーず)の作成も。(地味に一番めんどくさい)
トーナメントの公開前に中止が決まったので公開しなかったけど、大会管理はsmashggで行う予定だった。
あとはTwitterを中心にPR活動。日本の大会に注目してくれている海外プレーヤーに配信日程を連絡したり、みんなに興味を持ってもらえたり、参加者にモチベーションがあげて欲しくて動画をつくったり。
【#GJCS19 エントリー選手紹介】
今回トーナメントに参加申請いただいた29名の選手をご紹介します!どのようなプレイが飛び出すか大変楽しみです。応援よろしくお願い致します!GO-1 JAPAN CHAMPIONSHIP 2019
大会概要: https://t.co/J6JrQyVO6x#GO1_ARMS #ARMS pic.twitter.com/L20ql3Pvef— 豪腕@ARMS (@GO1_ARMS) October 6, 2019
https://twitter.com/GO1_ARMS/status/1169183985915744256?s=20
【特報】
みなさま、お待たせしました。
お待たせし過ぎたかもしれません。10/13(日)、豪腕初の #ARMS オフライントーナメントを開催いたします。
我らARMS勢も京都でいっちょLive、しようではありませんか。現在急ぎ準備を進めております。
是非、予定を空けて続報をお待ち下さい。#GO1_ARMS pic.twitter.com/rCCoefJewJ— 豪腕@ARMS (@GO1_ARMS) August 15, 2019
振り返ってみて
こうして振り返って準備の内容だけ並べると結構、いや、かなりめんどくさいように思える。イベントを企画運営する人は参加者が喜んでくれればそれで満足な変わった人が多いので気にしなくて良いのだけど。開催直前には疲労と緊張でもう投げ出したくもなるけど、いざ当日を迎えれば高揚感にやられてまた次のイベントを企画してしまうのである。
今回は本番が開催できずに目的の果実が収穫ができなかったものの、多くの経験値を得る機会になった。実際に自分の手で準備をしたことで気がついたことやアイデアは今後必ず活かされると思う。皮肉なことだけど自然災害によって開催可否判断をしなくてはいけない経験などめったにできるものでもないだろう。
今回の台風災害であちこちで言われていることだけど、事前に国や交通機関の事前判断が早かったことが中止を決める上で大きな後押しになった。そして残念なことに、予測通り被害も相当なものになってしまったので中止決定は正しかったと、今は疑いなくそのように思えている。
しかし、もう少し判断に迷う規模の台風だったらどうか。実際には被害が出なかったらどうだっただろうか。そんな状況を想像すると頭が痛い。大会のために交通手段や宿泊のためにお金を使ってくれている参加者が不利益を被ること判断はできるだけ避けたいし、かといって万が一に事故でも起これば責任が取れない。他のイベントの開催にも迷惑がかかるかも知れない。
判断の基準や時期をできるだけ早い段階で明示しておくことや、一斉連絡を取れる手段を確保しておくこと、会場と払い戻しが行われる条件のすり合わせなど今後万が一を想定したリスクヘッジもしていかないといけないと思う。
天災以外にもセキュリティの問題なんかも気になっている。ARMSのイベントは大体を知っているメンバーが中心なので事前申請のリストだけでチェックできるけど。各イベントがどのような運営マニュアルを用意しているのか個人的に興味がある。そういう情報収集や実際の経験を得て、より万全に近い形に近いイベントの計画が立てられるようになりたい。
と、思ったことを書いていたらとりとめもなくなってしまったが、こんな感じでGJCSについて考えたり、準備をしていた。
今回の経験を活かして、改めてARMSの大会を開催したいと思う。開催場所の見直しや費用のこともあるので少し時間がかかりそうだけど。みんなの目標になるような、アクティブじゃなくてもこれには参加したいと思ってもらえるようなお祭り感覚で盛り上がる大会は残していきたいし、その一翼は担いたい。その時は是非よろしくお願いします。
最後に、この企画に関わってくださったみなさんに心から感謝申し上げます。
運営メンバー:CALMさん、ぽこやんさん、きこぴのさん、inkjettoさん、TEAM豪腕
運営資金協力:ぎゅうたんさん、ぷちこさん
大会にエントリーしてくれたみなさん
大会参加を呼びかけてくれたみなさん
どうもありがとうございました。